幾霜::残日録::2008/01/07 (月)

 

移籍先を探しています。系統樹推定法やメタバーコーディング法などに詳しい研究者を探している方がおられましたらご一報下さい。

2008/01/07 (月)

[Hardware] CASIO、600万画素で60fps動画撮影可能な「EXILIM PRO EX-F1」 - 16:44:15

 正当派デザインでフルマニュアル撮影可能なデジカメとしても使い物になるなら買いそうです。が、13万ですか・・・。そういう目的ならFZ50かS9100かな・・・。絞り羽根の枚数も不明。7枚ならすごいことですが、さすがにそれはないんじゃないでしょうか。

[Life] 本がいるなぁ - 11:57:45

 こういう、「何気なくやってしまいそうな過ち」が系統学には余りにも多い。実際に「やっちまっている」論文も多い。適用する方法論ごとに、原理を理解して本当にそれで良いのかをよくよく考えていかなくてはならない。その辺りの解説をきちんと実践的に行った本は無い。もちろん英語のものも含めて。教科書が一冊必要だなぁ。

[Science] 樹形の不確実性を踏まえた分岐年代推定の方法 - 11:51:06

 ということで、樹形の不確実性を考慮に入れて分岐年代を推定するには、r8sによるNPRSなどの、既に得られている系統樹(群)に対してアドホックに適用する方法が現状での選択肢になる。そこで問題になるのは、較正点の年代(制約)をどのように与えるのかということである。

 ここで、年代制約がどのように得られるのかを考える必要がある。実は、年代制約にも特定の分岐(特定分類群の単系統性)が正しいことを前提としているものがしばしばある。その系統樹を前提としたときに、いくつかの化石記録を考慮することで何らかの年代制約が得られる、といったものである。大陸の分断などのテクトニックイベントに基づくものを除き、化石記録の有無から推定される年代制約は全てこれに該当する。テクトニックイベントに基づく年代制約であってもほとんどの場合はこれに準ずるだろう。

 よって、樹形を固定せずにブートストラップ解析を行って得られた樹形群などに何らかの分岐年代推定法を適用する場合には、厳密合意樹とクレード頻度表をよく見て、与える年代制約を選別したりする必要がある。年代制約が前提としている樹形に矛盾するクレードの年代制約を与えてはまずいからである。その年代制約の前提としている系統樹が本当は正しいのだと思うのなら、その年代制約を与えられるように、ブートストラップ解析時に樹形制約を与えてやることも可能だが、よほどきちんとした根拠がない限りおすすめしない。

[Science] MCMC分岐年代推定法の問題点 - 11:14:56

 樹形を固定しなくてはならないことが最大の欠点だろう。樹形の信頼性が低い場合でも最尤or最頻樹形に固定する必要がある。ここで、多数決合意樹に固定してはどうかという考え方もあるだろう。しかし、これは絶対にやってはいけない。多数決合意樹の作成の際にとにかく最頻分岐を使うことにして全て二分岐の樹形にするならば問題無いが、50%以上とか、一定の基準を設けてそれ以下は多分岐にした樹形を与えてはいけない。

 50%多数決合意樹における多分岐は、その中の何段階かの二分岐の信頼性が低いため、表示上丸めているということを意味する。しかし、分岐年代推定時に多分岐の樹形を与えるということは、「その多分岐こそが真実である」とソフトに支持していることに他ならない。つまり、多数決合意樹の作成と、分岐年代推定を行う場合とでは、「多分岐」というものの意味するところが違うのである。もちろん、多分岐を含んでいる最尤系統樹を与えるのは問題無い。問題無いがしかし、結局樹形の不確実性を考慮に入れた分岐年代推定とはならない。あくまでその樹形が真実であるという前提における推定結果に過ぎないことを忘れてはならない。

 そして、現状ではMCMC分岐年代推定を行うソフトウェアの中で、樹形の不確実性を取り込んで推定を行えるソフトウェアはBEASTしかない。multidivtimeもPhyBayesも分岐年代推定時には樹形を固定しなくてはならないはずだ。ではBEASTを使えばいいかというとことはそう単純ではない。BEASTは分岐年代推定のモデルを樹形の推定にも持ち込んでしまう。それはもしかすると樹形の推定を改善することになるかもしれないが、そうでないかもしれない。まだBEASTは十分な検証を経ていないということだ。

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