幾霜::残日録::2004/09/20 (月)

 

移籍先を探しています。系統樹推定法やメタバーコーディング法などに詳しい研究者を探している方がおられましたらご一報下さい。

2004/09/20 (月)

ゲルに泡が - 15:50:16

 マイガッ!

月見と登山 - 13:13:48

 なんか月が復活したらしいので行きたくなってきたなぁ。今度名古屋へ行ったら行ってみるか。

生協が閉まっているのを見て - 12:50:22

 初めて気付いた。今日は祝日か。えーと、敬老の日、ねぇ。

結局のところ - 08:46:50

 「内容の面白さ」が「内容の正しさ」よりも優先され、「都合の良い情報」(今回の場合現状に対する安心を与える情報)がなんと受け入れられやすいかを改めて実感しました。また、大衆には情報を吟味する能力も、吟味する気も全く無いということも思い知らされますね。誰でしたっけ、「市民なんていない。いるのは無能な大衆だけだ」みたいなことを言ったのは。
 重要なのは、情報を信頼する前に十分吟味するということです。鵜呑みはいけません。吟味する能力が無いなら分をわきまえた行動をとりましょう(これは人のこと言えんか・・・)。

本当に、私の書くものがどうしようもないくだらないものならば、観客は去っていき、私は自然と淘汰されることになります。
 残念なことに、「有害遺伝子でも遺伝的浮動によって固定する」んですよね。致死遺伝子ならともかく、「たまに有害」程度では「有害なのを判断できる人間がほとんどいない」状況では淘汰されないんですよ。だから余計に悪質なんですが。文章だけは巧いので尚更。「どうしようもないくだらないもの」が淘汰されない例はこの世にいくらでもあるんですよねぇ。

補遺:環境危機はウソか本当か - 07:19:38

 「いんちき」心理学研究所さんが編集後記を書かれているのでこちらもいくつか補足などを。

 そもそも、私が反論を書こうと思ったのは元記事が「明らかな間違い」「意図的に謝った方へ導く不適切な比較、一部の事実」が散りばめられており、「都合の悪いことは書いてない」上に、参考図書リストから察するにおそらく本人はその辺りの専門知識を全然有していないにもかかわらずトンデモ本を鵜呑みにして書いていることが読みとれたからです。もちろん、私が見た限り、私の記事が公開される前にはほぼすべてのサイトがこの記事を鵜呑みにしていたこともありますし、あちらのサイトがそれなりに有名なので放置しておくわけにはいかないということもあります。コメント、TrackBack、掲示板でのことについては、サイト運営者としては切実で対処の難しい問題でしょうがないと思います。jugemサーバにも問題があったのかもしれませんし。

 ということで、とりあえず編集後記で触れられていることについて。

指摘:二酸化炭素の影響はあまりないって出展はどこだ?
環境危機をあおってはいけない
天然モノは安全なのか?
 呆れました。「環境危機をあおってはいけない」に書いてあることは多分間違ってはいなかったと思いますが、それは「そういう話もある」ということであってあれが唯一無二の事実というわけではありません。「事実かもしれないが事実じゃないかもしれないこと」を「事実」として書いてはいけません(って辺りは人のこと言えないかもしれませんが)。「天然モノは安全なのか?」に書いてある内容は少なくとも私は聞いたことがありません。もっとも、私の専門は気候学そのものではないので知らないだけかもしれませんが、果てしなく怪しい香りがします。

指摘:二酸化炭素で食物が生育するにも限界がある。
無限に生長するなんて言った覚えは・・・。確かに限界があるのは当然の前提として書きませんでしたが。
 それを一般には「自分にとって都合の良いことしか書かない」と言います。一つ補足をしておくと、二酸化炭素の増加で植物の成長は促進されますが、植物の生物量(biomass)の総量は増えないという話があり、自然環境への影響により逆に総量は減ってしまうかもしれません。

指摘:発展途上国は地球温暖化に対応できる資金があるとは限りませんよ?
下部の引用参照
 下部引用とは
ものすごい大金をかけて地球の温度上昇をほんのちょっと下げることができたとしても、それが資源の使い方としてまずくて、同じ資金を発展途上国に向けた方がずっと有効であるなら、温度上昇の緩和なんかにお金をかけるべきじゃないということだ。
でしょうか。ということは「同じ資金を発展途上国に向けた方がずっと有効であるなら」という前提が成り立つとお思いなんでしょうけど、その根拠は? ちなみに私は成り立たないと思います。水没以外の温暖化がもたらす弊害(主に人間生活ではなく自然環境への)を全てひっくるめて考えれば明らかです。

指摘:北極の氷が溶けてもやっぱり水位は上がりますよ。
これについては、実際に地球への影響を論じた本を読んだことないので情報募集。
 ポカーン・・・。

 Wikipediaからの引用について
一方で、氷河時代などには極端な海退が起こったとされている。(例;沖縄九州千島列島北海道などが大陸と地続き、また、日本海が巨大なであったとされる。)そういった点をふまえて、単に海岸線と大陸棚の関係や海水量だけから判断すると、現在は、極端な地球温暖化が進んでいる状態とはいえない。
 ここに書いてあるとおり、これは「単に海岸線と大陸棚の関係や海水量だけから判断すると」の場合です。時代背景の違いを考慮すればそういうことにはならないと思います。

ここで教授の立ち位置として「解釈の問題となる議論をする気は全くない」ということを表明しておきます。
 個人的には同感ですが、この問題について「解釈の問題となる議論」かどうかを判断する能力があなたには全く無いということを理解しておく必要があると思います。

実際に世の中を動かしているのは、政治的なパワーバランスです。
 「実際に世の中を動かす」のはそうです。しかし、「事実を明らかにする」のは科学や論理であって政治ではありません。これは環境問題を議論する人がよくやる過ちです。つまり、「政治的な問題と科学的な問題を混同している」ということです。

 まとめについて。
二酸化炭素は温室効果を生み出しているが、現在の温度上昇に二酸化炭素がどう関わっているかは不明である。
正解。
二酸化炭素の上昇は悪い影響もあるがいいこともある。基本的に物事というのは「全ての面で良い」ものはまずないからこれは当然。
地球温暖化は悪い影響もあるがいいこともある。決してマイナス一辺倒ではない。もちろんいいことだけではない。
正解。しかしながらどちらが大きいのかを考慮することは現段階でも可能。
結局のところ、地球温暖化の原因はよく分かってない。
ちょっと違います。「二酸化炭素の増加が関係しているのは確実だがどのように、どの程度関わっているかは不明」ってところだと思います。
原因がはっきりしていないのに、二酸化炭素が悪だという結論を出し、それに多大な費用を出すのはおかしい。
二酸化炭素の増加が良くないのは「かもしれない」ではありません。

 今回の件は、るめっくす・あせとせら
要するに、公正で面白い記事を書く努力を初めから放棄して、「面白ければ中立でも公正でも無くて良い」ということですかね。とてもでは無いですが、サイト説明の中で自説に都合のいい例だけを紹介したいんちき言説を批判しているサイトの姿勢とは思えませんね。やってる事は一緒では無いですか。
とされているように、著者の姿勢の側に根本的な問題があると思います。私は「憶測」や「想像」でものを書くのが悪いことだとは言いません(私もやります)。でもそれは「憶測」や「想像」であることを明かしておかなくてはなりません。これは事後対応でも構いませんが、今回のは編集後記なので十分とは言えないでしょう。また、私が明らかな間違いを指摘した部分については全て無視されているのも何らかの意図を感じますね。

 次に他サイトからこちらへの疑問について。

いんちき心理学研究所さんに対するツッコミらしいですけど、論拠がはっきりしてないような。二酸化炭素と温室効果の関係は? おふらいんver2
 申し訳ありませんが全てについて論拠を示している時間的・労力的余裕が無いのでどこにそう思われたのか絞り込んでいただけると助かります。ぶっちゃけ多大な時間を費やして一つ一つ論拠を示しても誰も読まんだろうという確信がありましたし。二酸化炭素と温室効果の関係については前の記事に書いたとおりです。論拠は近年のNatureやScienceに掲載された複数の論文です。「Vostok」「GRIP」「foraminifera」「Ice core」などのキーワードで検索すれば見つかると思います。Vostokは南極の氷床コアを採取しているところの地名?で、GRIPはGReenland Ice core Projectの略だったと思います。さらにこれにNorthが付いた「NGRIP」という研究プロジェクトもあります。foraminifera(有孔虫)は炭酸カルシウムの殻を作る原生動物で、こいつらの殻が海底堆積物中に残っており、氷床コア中の大気分析が行われるようになる前は古気候変動の最も良い記録として扱われてきました。現在でも年代推定やローカルな環境変動を調べるためにはよく使われています。

 最後に、日本語の参考書籍として
海と環境 −海が変わると地球が変わる−
日本海洋学会編
を挙げておきます。

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